imbaxa’s diary

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男女の生きづらさはコインの裏表 男性学研究者の田中俊之さん「男子が10代のうちに考えておきたいこと」

——田中先生が研究されている「男性学」とはどんな学問なのでしょうか。

 一言で言えば、男性が男性ゆえに抱える生きづらさや葛藤をテーマにした学問です。これまで、職業領域の問題について、女性学では女性の職場での地位や給与が低いこと、結婚や出産などにより退職や短時間勤務せざるを得ないといった問題を扱ってきました。その一方で、男性には一家の大黒柱となるために、仕事をし続けたり長時間労働したりせざるを得ないといった問題があります。こうした観点から男性の生き方を見直し、性別にとらわれない多様な生き方が実現できる社会を目指すのが男性学です。

——本書『男子が10代のうちに考えておきたいこと』は高校生を対象にした一冊です。若い層に向けて書いたのはどうしてでしょうか。

 もともと若い層に男性学を知ってほしいという思いは強くありました。この本は岩波ジュニア新書から発売されていますが、実はこのシリーズでジェンダーを正面から扱った本は少なかったんです。なので男性の生き方を問うと同時に、多様化するジェンダーの入門書として気軽に読めるように意識しました。

この本で扱ったテーマは大きく三つあります。一つは、今の日本社会で男性として生きるとはどういうことか。従来の男社会は競争原理が強く働いていて、偏差値の高い進学校から難関大学、そして一流企業に就職して一家を支える大黒柱になるという道を歩むために競争させられていると説明しています。

二つ目は、その男社会が終わりつつあるということ。従来の男社会は男性が稼ぎ手になることをモデルにしていましたが、経済が停滞する中で男性の給与は下がり、共働きの夫婦が増えています。さらに独身の人が増え、ダイバーシティが推進される中で、社会のあり方は変わってきています。

 最後が、その中で君たちはどう生きるのか? ということ。今まさに10代で、良い大学、良い企業に向けて競争真っ最中の子たちにそのことを考えてほしいというのが三つ目のテーマです。本の中では男子高校生に語りかけるように書いている箇所がありますが、女子が読んでも、高校生以上の人が読んでも良いジェンダーの入門書となる一冊を目指しました。

別の生き方を想像しにくいマジョリティ男性

——僕自身の感覚としては、若い世代ほど多様性に柔軟で、旧来の男社会の価値観とは距離を置いている人が多いと思っていたんです。でも、進学校から難関大学、そして一流企業という出世コースは依然として強力で、そこから男社会ははじまっているんだなと気づかされました。

 最近はそれとは違う生き方を発信している人やメディアも増えたと思います。特に女性やセクシュアルマイノリティの方のための情報は増えてきましたよね。ただ、マジョリティとされる男性はなかなか別の生き方があると気づくことができません。そこには、マイノリティの方とはまた違った過酷さがあるはずです。

 最近だと、経済産業省官僚の男性が覚せい剤を使用して逮捕された事件がありました。彼が覚せい剤を使用していたのは、朝仕事に行く前です。月に300時間の残業をこなすために、薬物に手を出していたんですね。それは彼が地方から出てきて難関大学に入り、キャリア官僚となったことと無関係ではないでしょう。転職や地元に帰るという選択肢もあったはずですが、両親にがっかりされる、あるいは、自分自身もせっかくここまで来たのに仕事をやめたら負けた気がする、といった思いから引けなくなっていたのだと思います。

——いわゆる「勝ち組」としての道を長く歩めば歩むほど、それ以外の道を選びづらくなる。

 2018年には東京医科大などが入試で女性や多浪生を不利に扱った問題がありました。ある時、進学校の生徒にこの事件について聞く機会があったのですが、一部の男子から「ラッキー」という意見が挙がりました。自分たちは競争にさらされているから、有利になることはなんでもうれしいという理屈です。

 彼らには女性を排除して自分たちが特権を得るとはどういうことなのか考える視点が抜け落ちています。ただ、親も祖父も医者で、「お前は絶対に医者になるんだよ」とプレッシャーをかけられる環境で育てば、そう考えてしまうこともあるかもしれない。難しいのですが、男性個人の考え方だけを責めるのではなく、その背景を読み解き、社会の問題として扱わなければならないと考えています。

——日本では男性の自殺者数が女性の倍以上というデータもあります。これも男性の生きづらさを考える材料の一つになるでしょうか。

 そうですね。背景には、男性が競争原理にさらされる中で後に引けなくなったり、「弱音を吐くのは男らしくない」という慣習に縛られていたり、見栄を張ったりすることがあると思います。

 人間は見栄を張るために生きているわけではないし、勝ち負けを気にしていたら常に勝ち続けなくてはいけません。年収や学歴といったスペックを追い求めず、勉強したいことが学べる大学、自分らしく働ける職場、一緒にいて楽しい友達やパートナーなど、居心地の良い場所を見つけ、大切にしてほしいです。

ドラマ「まだ結婚できない男」は中年男性をどう描くか

——本書ではCMやドラマ作品における男性の描かれ方に着目した記述も多いですね。それも社会問題として考えるための一つの視点になるのでしょうか。

 この本の中では栄養ドリンク「リゲイン」のCMの「24時間戦えますか」というフレーズや、主婦たちが「亭主元気で留守がいい」と話す防虫剤「タンスにゴン」のCMなどを取り上げています。これはともに1980年代後半のCMですが、バブル景気の中で男性はバリバリ働き、専業主婦の女性がいる家にはほとんど帰ってこないという状況が垣間見えます。

 これは長時間労働が問題視され、共働きの家庭が増えた現代とは大きく違っていますよね。そこからは、時間をかけて社会は変わっていくという視点が得られます。過去がこうして変わるなら、未来も変わっていくはず。そのことに気づいてほしくて取り上げました。10代の読者やお子さんがいる方には、お互いと対話するきっかけにもなると思います。

——2006年に放送され、2019年10月から続編が放送されるドラマ「結婚できない男」についても触れていました。

 「結婚できない男」が放送された2006年は、中年の男性が結婚しないことに違和感を持つ人が多くいました。主人公の桑野は偏屈な人として描かれてはいるものの、結婚できないからかわいそうとか、最終回で結婚して幸せになるといった描かれ方はしていません。独身という生き方をコミカルに、かつ肯定的に描くことで、「結婚しないのはおかしい」という凝り固まった考え方をほぐすとても良いドラマでした。

 続編「まだ結婚できない男」で桑野は53歳になっていますが、タイトル通りまだ結婚していません。実際、日本の未婚率は上昇し続けていて、2015年の50歳での未婚率(生涯未婚率)は23.4%。およそ4人に1人が未婚で、決してマイナーな存在ではないのですが、そこに焦点を当てた作品はありませんでした。どんな風に描かれるのかとても楽しみです。

「逃げ恥の良さは男女の対立構造にならないこと

——その他に注目している作品はありますか?

 「逃げるは恥だが役に立つ」の新シリーズですね。最新刊となる第10巻のあとがきで、作者の海野つなみ先生はあとがきで、「新章では男の呪いについて描く」と書いているんです。

 ドラマ化もされた前章では無償労働や結婚にまつわる女の呪いについて描かれていました。一方、新章はメインキャラクターの津崎平匡が育休を取ろうとするお話。育休取得を通じて、男性の労働環境や出世について描くようです。

 女性問題と男性問題はコインの裏表です。女性は結婚して家に入り子育てをすべきという価値観の裏には、男性は働き続けて一家を養うべきという価値観があります。「逃げ恥」は新章で、その両面を描こうとしていますよね。

 物語の良さは様々な登場人物の視点が出てくるので、安易な対立構造にならないことにあります。ジェンダーセクシュアリティをめぐる議論はどうしても男女の対立構造としてとらえられがちですが、「男が悪い」「女が悪い」という単純な話ではありませんから。

 そして、「逃げ恥」は何より物語として面白い。世間の人、とりわけ中高年の男性はジェンダーと聞くと日ごろの行いを怒られるんじゃないかと身構えてしまうことが多いのですが、物語として楽しめるとフラットに視点を獲得できますよね。

——田中先生の本も、読み物として楽しめることを意識されていると感じました。山梨県の高校で行われた男女が制服を交換してみる試みや、一年間女装して暮らしてみる実験をしたクリスチャン・ザイデルさんのエピソードなど、「自分だったらどう感じるだろう?」と当事者目線で入り込める事例がたくさん紹介されています。

 まずはジェンダーを身近に感じてもらうことが第一歩ですからね。「じじいが偉そうに……」って思われたら、絶対に読んでもらえないじゃないですか(笑)。ユーモアを散りばめながら、「君はどう思う?」と語りかけるような本にしたいと思っていました。

仕事のペースを落としても、家庭重視で

——ところで、この本は3年ぶりの書き下ろしとなりました。2016年に一人目のお子さんが生まれてからは、田中先生自身が仕事と家庭のバランスに悩んだこともあったとか。

 そうですね。家族が夫婦2人の時はこういった新書を年に2冊は執筆できていましたが、家庭を優先した生活を送っているので、すっかり仕事のペースは落ちました。

 育児に時間をかければ仕事にかけられる時間は減って当たり前ですし、今はそれでいいと思っています。稀に育児もこなしながら仕事の成果も落とさない人がいますが、それは僕のような普通の人間にはキャパオーバー。見栄を張って仕事も育児も完璧にこなせる状態を目指しても破綻してしまうので、自分の価値観をはっきりさせたほうがいいですね。

 家庭を重視すると割り切ってからは、年に何冊も本を出している人を見ても落ち込むことはなくなりました。仕事が遅れて迷惑をかけることもあるので、申し訳なさはありますが。

——夏には2人目のお子さんが生まれたとうかがいました。家族が増えたことで、何か生活は変わりましたか?

 実は2人目の息子は早産だったんですよ。なので生まれてからしばらくは入院する必要があり、妻も病院に併設されていた施設に泊まることになりました。

 その間は僕と3歳の息子の2人で暮らしたのですが、これが本当に大変で……。とりわけ、妻が切迫早産で救急車で運ばれて入院し、いつ出産になるかわからない状態だった数日間は、毎日、すごく不安で精神的に追い込まれました。4週間ほどの間に、疲れてしまって息子に対して感情的に怒るということを3回経験しました。これまでの自分にはなかったことです。外で子どもを大声で叱っているお母さんを見て「そんなに怒らなくても」と思う人は多いと思うのですが、常に目が離せなくて神経が高ぶっているから、そうなってしまうんですよね。

 怒ってしまった翌朝、起きるなり子どもが「パパがやさしくなるようにって手紙書いたんだ」と僕に言いました。まだ3歳で字は書けないので、そういう夢でも見たんでしょうね……きつかったですね。その期間があまりに大変だったので、妻と2人目の息子が退院してからはとても穏やかに感じます(笑)。でも、短い間ですがひとり親の状態を経験できたのはすごく勉強になりました。「ひとり親世帯は大変だ」という話をこれまでも仕事でしてきましたが、これは今以上に強く言わないと世間には伝わらないと気づくことができました。

 子どもが増えて、今後はますます家庭重視で生活していくつもりです。もともと仕事で何かを成し遂げたいと強く思っているほうでもありませんし、もちろん大学での教育と研究のようなやるべきことはしっかりこなしながら、基本的には家族との時間を優先したいなと。子どもが大きくなるまでたくさん遊んで、「もうお父さんと遊びたくない」という日が来たらまた仕事の分量を増やす。そんな生き方がいいなと考えています。

厄介者のエイ「海のジビエ」に 消臭のカギは桜島にあり

優雅に泳ぐ姿が水族館では人気でも、網を破りアサリを食い荒らすエイは、漁師にとっては厄介者。そのうえ時間が経つと臭くなるので、鹿児島県錦江湾では、網にかかれば捨てられてきた。そんなエイが「海のジビエ」として特産品に生まれ変わろうとしている。秘密は、地元料理人が開発した調理法にあった。

 9月7日、錦江湾の北側に接する同県姶良(あいら)市の居酒屋で、市立蒲生(かもう)小学校の教員や保護者ら約10人がエイの南蛮漬けとエイ肉を使ったホットサンドをさかなに、盛り上がっていた。いずれも錦江湾で網にかかったエイを使った料理だ。

 参加者からは「骨がなくていい」「姿からは想像できない淡泊な味」と味に対する好印象を抱く感想が相次ぎ、「学校給食で出してほしい」といった声も上がった。教頭の宮元秀樹さん(45)も「身近な錦江湾の魚なので、給食に出せば子供たちが地産地消を学ぶのにもいい」。

 この日集まった同市出身者らによれば、20年ほど前までは、地元では釣りでエイがかかると家庭でも刺し身や唐揚げにして食べていたという。ただ時間が経つとアンモニア臭を放つ難点があった。

 姶良市によると、錦江湾にはナルトビエイやツバクロエイ、アカエイなど数種類が生息する。約3年前、異常発生した時期があり、当時それを知った同市の和食料理人、梛木(なぎ)春幸さん(49)が桜島の灰を使う「灰干し」でアンモニア臭を消す調理法を考案した。

 梛木さんの働きかけで、市内6…

膵がん早期発見「超音波内視鏡」だけでなく総合診断が必要

「超音波内視鏡」(EUS)は膵がんの早期発見の有力な武器であることは間違いありません。膵臓は体の奥深くにあり、内視鏡であってもその中に入ることができません。ところが、内視鏡の先端に超音波診断装置を取り付けたEUSなら、胃や十二指腸越しに膵臓を観察することができます。最近では内視鏡の先端から針を出して、がん病巣に差し込み、組織を採取する「超音波内視鏡下穿刺吸引法」(EUS―FNA)も急速に広まっています。

 ところが、日本膵臓学会が作成した「膵癌診療ガイドライン2019年版」では「推奨の強さ:弱い、エビデンスの確実性:C(弱)」となっています。その理由は何なのでしょうか?

 EUSではまれに出血、穿孔、ショックといった偶発症が発生することもありますが、臨床的にはガイドラインが引用した論文ほど高い成績が得られるとは限らないからでしょう。

 EUSは操作する医師の技量などにより、その結果が異なります。中には病変を見落とすケースもゼロではありません。また、肝臓に向かう太い血管の門脈といわれる部分に浸潤したがんを見つけるのは得意ですが、必ずしも膵臓全体から小さながん細胞を見つけるのが得意であるわけではありません。

 EUS―FNAにしても、早期である1センチ前後の膵がんの細胞を2センチ以上離れた胃や十二指腸の中から穿刺して、診断に足る十分な細胞を回収するのはかなり困難です。その成功率はそれほど高くありません。

 ですから膵がんの見落としを防ぎ、膵臓の病変の詳細を知るには造影CTやMRIなど、ほかの画像診断の所見と突き合わせて最終判断することが重要です。現時点ではEUSは補助的診断だと考えます。

 私は日本消化器内視鏡学会認定指導医でもありますが、膵がんの診断はEUSのほかに、ダイナミックCTと「磁気共鳴胆管膵管造影」(MRCP)の所見を総合して行うようにしています。

 ちなみにダイナミックCTとは肝臓や膵臓・胆嚢・脾臓などの病気を診断する際に造影剤を30秒間隔で注入し、その後、一定時間に同じ部分を撮影する検査のことです。造影剤を入れて複数回撮影することで血流の流れや病変と正常組織の造影剤の到達具合を比較して、どういう病気かを診断していきます。

 マルチスライスCTを使うことで、より小さながんまで見つかるようになりました。

 MRCPはMRI装置を使って胆嚢や胆管、膵管を同時に抽出する検査法です。膵臓の前がん病変などを検出するのに特に優れているといわれています。

壮大な氷と火山の国 フォトグラファー仲間と一周したアイスランド

自分探しの衝動にかられて。または絶景写真を撮るため。単純に旅が好きでたまらない。理由は様々だが、世の中には、世界を自分の目で見て回らないと気がすまないという人たちが一定数いるようだ。そんな“旅人”たちが、「今まで自分が見た景色は何だったんだ?」という思いに駆られ、また必ず訪れたいと唸(うな)る土地をご存じだろうか?

それは、「地球の果て」とも称されるアイスランド。最近の映画でいうと『LIFE』の主人公がスケボーで走っていた場所だ。簡単に説明すると、RPGの『ドラゴンクエスト』と『ファイナルファンタジー』の世界観のリアル版。氷と火山の国。えぇ、すごいんです。
とはいえ、ひたすら続く一本道を何時間も車を走らせると、たまに休憩ポイントのように現れるかわいい港町があったりして、もう実際に目で見て確かめないと、この魅力はなかなか感じてもらえないかと思う。

スタート地点はレイキャビクという、それはそれはオシャレでかわいい街から。
せっかくアイスランドを旅するなら、中途半端は嫌だ。ということで、僻(へき)地のフィヨルドも含めて、アイスランドを車で一周する旅をしてみた。

後にも先にもフォトグラファーとして一番ハードな旅だった。
全員がフォトグラファーの男女4人旅。全員既婚者で、子供もいる。合言葉は「無事に生きて帰ろう」。

ガードレールもない僻地の道なき道を、自分たちのものを含めてクルマが爆走していく。もうこのまま谷底に突っ込むんじゃないだろうかと思って、遠い目をしてましたねぇ。

ついつい遅くまで撮影(遊び)に夢中になり、次の宿泊予定ポイントまで200kmとか聞くと、もうHPも限界で心が折れそうになった。ある山越えの道では、完全に霧に包まれてしまい、時速数kmのノロノロ運転。ナビゲーションを見ると、道の両脇は海みたいに表示されていて、「山の上なのになんで海?」「ココハドコ? もしかしてもう死んでしまった?」という半端ない恐怖感を抱いた。実際は周囲は湖だったのだが。

旅の後半は、人間を見かけることは少なく、数としては羊の方が圧倒的に多かったなぁ。村上春樹はここで小説を書いてたんじゃなかろうか。『羊をめぐる冒険』とか。それぐらいの羊の世界だった。

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初体験の白夜による、喜びと苦しみのループ

アイスランドを旅したのは8月。ハイシーズンということもあって、人気の場所は観光客がたくさんいた。北欧諸国のシンプルでオシャレな街並みは、それだけで幸せな気分になる。そして、我々を最も喜ばせ、同時に苦しめたのが、初の経験だった白夜という現象。これも簡単に説明すると、緯度が高いため、太陽がなかなか沈まず、夜の10時、11時ぐらいになってやっと日が沈みはじめ、翌朝の3時ぐらいにはもう日が昇るという具合だ。

この旅での走行距離が8日で3000kmを超えた。みんなできるだけ写真を撮りたい。でも次の宿は決まっているので、必ずそこにたどり着かないといけない。でも写真が撮りたい。白夜で1日が長いので、つい寄り道もしてしまう。夜の遅くにやっと次の宿に到着し、明日の用意をする。この繰り返しで毎日ヘトヘトになった。

今振り返れば、よく体力が持ったなと思う。すべてはアイスランドという超大自然の魅力と、たまに休憩できる小さな田舎町があったおかげだろう。あとフォトグラファー仲間が一緒で飽きることもなかった。予算を抑えるために、全員同じ部屋。旅の間は家族のようになって楽しかった。しっかり者の2人と、それに頼りきる2人。あ、自分は写真を撮るのに夢中で頼りきる方です(笑)。

地球を丸ごと感じるような壮大な旅

アイスランドの旅は、濃厚すぎるのとすごい景色がたくさんなので、一つ一つ説明していったらとてもじゃないがここでは書ききれない。ただ、アイスランドといえば、圧倒される大きさと迫力の滝が有名だろう。どれも名所と言えそうな滝があちこちにあるので、旅の後半では立ち寄らなくなった。帰国後、日本のどの滝を見ても、米国・オレゴンの有名な滝を見ても、特に驚きがなかったのは、アイスランドで慣れてしまったからだと思う。

滝以外にも、よくSF映画のロケ地にもなる火星のような場所もあれば、小川が流れるオアシスのような場所もあった。車を途中で止めて、大きな声で叫びたくなる雄大な景色。ぐるっと360度見回しても障害物のない空と大地が広がっている。

天気の変わりが早く、風も雨も遠慮なくやってくる。晴天より曇り日が多く、その代わり晴れたら虹がきれいなアーチをかける。自分も虹と滝が撮れたのには興奮した。それと、あと一歩踏み出せば確実に落ちて死ぬという場所でも、柵もなにもなかったりするのだ。自己責任というやつですね。

冬は、夏とは逆に昼が極端に短くオーロラも比較的見やすいらしい。夏は1周できたけれど、冬だとその半分も行くことができない。
世界を旅する旅人が、また行きたい場所としてアイスランドの名前を挙げる理由が少しわかった気がした。

地球の原風景が残る土地。どこか脳裏に焼き付いて離れない風景があって、心にいつまでも余韻が残る。また行きたいなと思える場所。ありきたりな旅行ではなくて、地球を丸ごと感じる壮大な旅をしたいなら、ぜひおすすめだ。

(料理メモ)黒酢の酢豚

【主な材料・2人前】 豚ヒレ肉150g、ニンジン30g、ピーマン1個、ショウガ汁小さじ1、黒酢大さじ2、レモン汁大さじ1、片栗粉、揚げ油適量

 【作り方】 豚肉は厚さ4、5mmの一口大に切り、しょうゆ、酒各小さじ1、ショウガ汁をもみ込み下味をつけます。ニンジン、ピーマンは小さな乱切りにし、軽くゆでます。

下味をつけた豚肉に片栗粉、水各大さじ2を加え混ぜます。揚げ油を160~170℃に熱し、豚肉を一片ずつ入れ、カラリと揚げ、油を切ります。

 フライパンに黒酢と酒大さじ2、レモン汁と砂糖、しょうゆ各小さじ1、水大さじ3を合わせ、中火で煮立てます。片栗粉小さじ1を同量の水で溶いて加え、とろみをつけます。豚肉、ニンジン、ピーマンを加え、ひと煮し、全体にからめます。(約30分)

1人前約230kcal、塩分0.9g

結局「老後の貯蓄」は、いくら必要?どうやって貯める?

■老後資金はいくら準備すればいい? 老後の支出は1カ月約27万円
人生100年時代において、「老後のお金不安」が増幅しています。

理由のひとつが、老後の収入の柱である年金の先が見えないこと。原則65歳まで働き続けることができるようになったとはいえ、老後をアクティブに生きるためには、年金を補完する資金を準備する必要があります。必要な老後資金の考え方と計算方法、老後のための貯金方法を解説します。

平成29年「家計調査報告(家計収支編)」(総務省)によると、高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)の1カ月の家計収支は次のとおりです。

・実収入……20万91989円(うち社会保障給付は19万1880円)
・支出……26万3717円(うち消費支出は23万5477円)
・赤字……5万4519円

老後の定期収入である公的年金企業年金では、生活費や税金・社会保険料等の支出が賄えず、貯蓄の取り崩しや仕送りを受けて不足分を補っているようです。

人生100年時代、老後資金はいったいいくら準備すればいいのでしょうか。順を追って計算していきましょう。

セカンドライフに必要な資金は? ケーススタディで試算
充実したセカンドライフを送るための老後資金には、何が何でも確保したい生活資金、安心かつ充実した人生にするその他の資金、例えばレジャー費用や車の買い替え費用、住宅のリフォーム費用、子どもへの援助費用、などがあります。

では65歳でリタイアする同い年のAさん夫妻(妻は専業主婦)を例に、セカンドライフに必要な資金を計算していきましょう。

なお、セカンドライフ期間は、「平成28年簡易生命表」(厚生労働省)を基に、10万人の出生に対して生存割合が25%になる年齢(Aさん90歳、妻95歳)までとしました。

平成28年簡易生命表」の65歳の平均余命は、男20年、女25年です。平均余命時点(男85歳、女90歳)のそれぞれの生存割合は男46%、女50%。多くの人が平均余命を超えて生きていくのです。

平均余命までの老後資金計画では、それを超えて生きる人たちは困ります。そこで、ここでは生存割合が25%程度になる年数を使い、生活資金を計算しました。

一般に、現役時代に、老後の生活資金を見積もる場合の計算式は、

・夫婦時代の生活費=現役時代の生活費×70〜80%×夫の平均余命
・妻だけの時代の生活費=現役時代の生活費×50%×夫と妻の平均余命の差

を使います。すでにリタイアしている場合、夫を見送った妻の生活費は「夫婦時代の生活費の70〜80%」、妻を見送った夫の生活費は、夫の家事力により「夫婦時代の生活費の80%〜100%」とします。

▼【1】生活資金では、Aさん夫妻が65歳から生存率25%になるまで生きる場合に必要となる生活資金を計算してみましょう。

・毎月の生活費は、前出の高齢夫婦無職世帯の支出額27万円(=60歳以上の勤労者世帯の支出38万円の71%に相当)とする。
・夫婦時代の生活費=27万円×12カ月×25年=8100万円
・妻だけの時代の生活費=27万円×12カ月×80%×(30年−25年)=1296万円

以上から、生活資金は9396万円になります。

▼【2】その他の資金(子どもへの援助資金や自宅のリフォーム費用等)項目と金額は自分の状況に合わせます。ここでは次のように考え、2600万円としました。

・住宅ローン残債返却……500万円
・住宅リフォーム資金……500万円
・趣味・レジャー関連費用……400万円
・子どもの結婚・住宅購入援助資金……400万円
・車買い替え関連費用……200万円
・医療や介護費用……300万円
予備費……300万円

▼【3】65歳から夫90歳・妻95歳までに必要な老後資金【1】【2】を踏まえて、65歳から夫90歳・妻95歳までに必要な老後資金はどうなるでしょうか。

【1】生活資金9396万円+【2】その他の資金2600万円=1億1996万円

となります。

■リタイア後の収入の柱は退職金と公的年金の2つ
老後の生活を賄う資金は、預貯金、退職金、公的年金(老齢基礎年金・老齢厚生年金)の3つ。中でも、リタイア後の主な収入源は、退職金と公的年金の2つですが、企業年金が給付される人も少なくありませんので、勤務先に確認するといいでしょう。

共済年金平成27年10月1日に厚生年金に統一されました。統一時に65歳以上で退職共済年金を受給している人には、従来通り退職共済年金が給付されます。

では、それぞれの金額の目安を見ていきましょう。

▼【1】退職金退職金の額は、会社の規模や職種、勤続年数等で異なります。「平成25年就労条件総合調査結果の概況」(厚生労働省)によると、平成24年の1年間における勤続35年以上の定年退職者の退職給付額は 、

・大学卒(管理・事務・技術職)……2562万円(1567万円)
・高校卒(管理・事務・技術職)……2272万円(1470万円)
・高校卒(現業職)……1872万円(1184万円)

でした。これは、退職一時金だけでなく年金払いの分も含む金額です。カッコ内の金額は、退職一時金のみの場合です。

一方、日本経済団体連合会と東京経営者協会会員企業「2016年9月度 退職金・年金に関する実態調査結果」によると

・大学卒(管理・事務・技術職)……2374万円(2592万円)
・高校卒(管理・事務・技術職)……2048万円(2400万円)
・高校卒(生産・現業職)……1821万円(1954万円)

でした。これは、退職金一時金のみ・退職一時金と年金併用・退職年金のみの単純平均額です。カッコ内の金額は、ポイント方式の場合です。

▼【2】公的年金老齢基礎年金や老齢厚生年金の金額は、毎年誕生月に送付される「ねんきん定期便」で確認します。旧共済年金加入者にも「ねんきん定期便」が送付されます。

老齢厚生年金を受給している夫が死亡すると、一定条件を満たす妻には遺族厚生年金が給付されます。

■Aさん夫妻のリタイア後の収入はどれくらい?
では、Aさん夫妻のリタイア後に予定される収入を見ていきましょう。

【1】退職金……2500万円
【2】年金合計……7428万円

平成29年度の新規裁定者の年金額は、厚生年金(夫婦2人の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)は22万1277円。老齢基礎年金は6万4941円(月額/1人)です。

・夫が受給する公的年金総額=(老齢基礎年金+老齢厚生年金)×12カ月×25年=(6.5万円+9.1万円)×12カ月×25年=4680万円
・妻が受給する公的年金総額=老齢基礎年金×30年+遺族厚生年金×5年=6.5万円×12カ月×30年+6.8万円×12カ月×5年=2748万円

以上から、Aさん夫婦の、Aさん90歳・妻95歳まで生存する期間に予定される収入の合計は、

【1】退職金2500万円+【2】年金合計7428万円=9928万円

になります。

■老後の貯蓄目標額は「支出−収入」
必要な老後資金は、「老後に必要とする老後資金−老後に予定される収入合計額」で算出します。

Aさん夫妻が必要とする老後資金は1億1996万円、それに対して収入は9928万円。その差2068万円が、老後資金として準備すべき金額=目標貯蓄額になります。

では、この2068万円をどのように準備すればいいのか、考えていきましょう。

■月11万円、15年間積み立てれば約2000万円貯まる
前出の家計調査によると、2人以上の勤労者世帯の年代別黒字額は

・40〜49歳……16万2040円
・50〜59歳……12万456円
・60歳以上……3万4680円

です。45〜59歳の15年間に毎月11万円、60〜64歳の5年間に毎月1万5000円を貯めると、元金だけで2070万円(=1980万円+90万円)になり、目標額をクリアします。

実際には、教育費や住宅ローン返済への支出とのバランスをとりながら、ゆとりがある時期には増額、家計が厳しい時には少し減額しながらコツコツと貯め続けることが肝要です。

目標貯蓄額が高すぎる場合は、現在の支出内容を見直して無駄な支出をカットして貯蓄額を増やす、老後の「その他の支出」の内容や予定額を検討する――例えば子どもへの資金援助の額を減らす、自宅のリフォームの規模を縮小する、など――ことなどが必要です。

それと並行して65歳以降も働く、妻のパー ト収入を増やす、など収入を増やす道を考えるのもいいのではないでしょうか。

■老後のための貯蓄は、早めの計画づくりが吉
40歳代から老後資金をコツコツと貯めるには、目標が必要です。

まずはリタイアメントプランを作り、その実現のために必要な老後資金を把握し、貯蓄目標額を把握しましょう。節目節目、例えば50歳、55歳、60歳、に、プランや老後資金、目標貯蓄額の見直しを繰り返し行い、思い描く老後のために微調整しながら準備を進めましょう。

その過程で、お金以外に必要なこと、例えば人のネットワークや健康維持、資格取得、などへの対策もたてることができます。

老後資金の準備は豊かな老後に必要な「生きがい、お金、健康」の準備にも繋がります。

大沼 恵美子(マネーガイド)

新婚さんの家計管理のコツって? まずは5年先まで考えよう!

結婚してまだ年数が浅い新婚さん(結婚して3年未満をここでは新婚さんと定義します)の家庭では、お互い仕事をしている、子どもがいる、実家住まいなどさまざまな環境で家計管理を考えなくてはいけません。何から手を付けて良いのか分からず、結局何もしていないという家庭もあるでしょう。   例えば、共働きの夫婦では、今よりもっと貯金ができる可能性があるかもしれません。今回は、新婚さんの家計管理について考えてみたいと思います。  

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家計管理のルールを作ろう

同棲して生活費をお互いでまかなっていて結婚した夫婦は当てはまらないかもしれませんが、結婚当初は、お互い仕事をしている場合にどのように家計を管理するのが良いか分からなかったり、実は今も明確な家庭でのルールなどなく家計管理をするうえで悩んでいたりする新婚さんもいらっしゃるかもしれません。
 
共働きの家計管理では、夫婦それぞれ収入があるので、家庭での役割分担とルールを決めておかないと家計全体のお金の流れが見えにくくなり、修正に時間がかかったり、結果的にお金が貯まらなかったりするということにもつながります。
 
夫婦のどちらがお金の管理をするかなど、家庭である程度ルールを決めておくことも必要になるかと思います。
 
妻が家計管理をしている家庭が多いとは思いますが、その場合は夫も全てを妻任せにするのではなく、毎月の収支状況の報告を受けたり、情報共有をしたりするなど、妻とのコミュニケーションを心がけたほうが家計管理の上では良いかと思います。
 
のちに「聞いていない」「知らなかった」ということは、夫婦関係にも影響してきます。特に共働き家庭では、収入は両方あるので、その家庭で決めたルールで家計管理をしたほうが結果的にはお金が貯まりやすいと思います。
 
夫婦どちらかが管理をする、一緒に管理をする、いろいろなケースがありますが、ご自身の家庭に合うスタイルを決めて家計管理をしてください。

先取貯金で残った分で生活をする習慣を身につけること

共働き夫婦では、収入がある程度見込めるので、家計管理の方法や貯蓄のルールなど決めておいたほう着実にお金が貯まると思います。
 
妻が専業主婦の場合は、お子さんがいるかによっても変わってくるかとは思いますが、夫の収入でやりくりすることが基本だと思います。その中で養育費のこと、マイホームのことなどを考えれば、今後も多くの出費がありますので、やはり貯められるときに貯めておくことが重要になります。
 
これからお子さんの誕生を考えている家庭では、妻の仕事の状況、仕事に伴う収入の変化があり得ますので、今後のライフイベントも考えてしっかりと管理をしておきたいところです。
 
そこで、今できる範囲で今後のライフイベントなどのために貯金をする場合、重要な考え方は、収入からある一定の金額を先に貯金しておくということです。これが「先取貯金」という考えです。先に貯金をして余った分で生活をしていくことがよりお金が貯まる管理法の一つです。
 
例えば、共働き夫婦の妻が出産・育児のため仕事を退職することになっても、先取貯金をして残りの資金で生活するという習慣ができていれば、家計管理が少し楽になるかと思います。
 
後回しにしがちな老後資金の準備も、できる範囲ではじめるようにしていきたいものです。年齢が若い方は老後といってもなかなかイメージが湧きにくいですが「人生三大資金」といわれる教育・住宅・老後の資金は、バランスよく貯めていくことが大事になってきます。

晩婚晩産の家庭では5年先のマネープランを考えたほうが現実的

最近では、晩婚や晩産の影響もあり、実際に子どもが20歳の時に親の年齢も60歳前後という家庭も少なくありません。
 
よって、50代中盤から60代にかけて教育資金がかかる家庭もありますし、またその時に夫婦どちらかの両親の介護問題などと重なることもあるかもしれません。ライフプランを組みながら時間軸を見て、必要な資金の把握と準備を計画的にやっておいたほうが老後の安心にもつながります。
 
基本的なライフプランは、まずは20年間、子どもの成人や独立などを目指して組んでみることをおすすめしています。
 
その際、ライフイベントが発生する時の家族の年齢など把握して、そこに短期、中長期の家族の目標など書き込んでもらって家族で共有をしておくことも、計画に貯蓄を継続していく効果が期待できるからです。
 
しかし、30代中盤で結婚して40歳前後で出産した家庭の場合は、前述のとおり、子どもが成人するタイミングで、別のライフイベントが発生する可能性があります。
 
ですので、今後のライフプランを考える時、20年間のライフプランよりも5年先までのライフプランを組んだほうが現実的で、お金の収支がわかりやすいと思います。
 
もちろん、家庭の収入や現在保有している金融資産によってもライフプランの組み方は変わってきますが、晩婚の場合は5年先までのライフプランを組んで、お金の流れを把握することに集中したほうが、結果的には貯金ができるようになると思います。
 
執筆者:末次祐治
FP事務所 くるみ企画 代表
 

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